
2020-01-20
夕日のキャンパス
暁の空、東の彼方より悠々緩々と出づる陽光。
空を曙色に染めてゆく様は、生命の誕生を思わせる程の神秘的な光景。
陽光は、次第に高くより高く昇りはじめ、紺碧の空と共に光と温もりで輝きます。
それはまるで青春の眩しさ。
その光と温もりは、生きとし生けるもの全ての活力の源。
やがて、茜色に黄昏の空は立ち止まることなく西の彼方へ。
残していくのは寂しさか、もの悲しさか。
太陽の1日のサイクルは、人の生涯・人生の縮図をみているような思いになりませんか。
そう思い耽るのも、来月で私がこの世に生を受け69年目を迎えるからです。
人生80年と考えれば、私は人生の大半を生き、既に八割ほどを歩んできたことになります。
振り返れば良い事も悪い事も、本当に沢山の出来事がありました。
幸運にも多くの人に助けられ、支えられてきた私の人生。
その人生の中で一番感動した出来事は今よりおよそ25年前。
建て主であるお客様総勢85名の皆様から、月岡温泉へ招待を受けた事が思い出されます。
創業20年を迎えるにあたり、良い住宅を建ててくれ、今も変わらず守り続けてくれていると、感謝の念を行動にあらわしていただいたのです。
商売をしていれば、当然お客様へ感謝するのが当たり前です。
それが反対にお客様より感謝され、更には金一封まで頂戴してしまいました。
お客様との深い絆で繋がれていたと感じた時間、それが私の人生で最高に感動した出来事です。
お客様より心から感謝される仕事、お金では代えられないものをいただく仕事、そんな商売は中々無いのではないでしょうか。
顧みると、人生で一番充実した日々を送れたのもこの時代でした。
1日1日が充実し、仕事でも何でも思い通りに物事が運び、多くのお客様にも喜ばれ沢山のアイデアも生まれました。毎日、日の出の訪れを楽しみにしていました。
「夢ハウス友の会」は、招待を受けた出来事をきっかけに、「頂いた恩を少しでも返していきたい」と発案し、お客様より発足いただいた団体です。
当初は観光バスを購入し多くの旅行を企て、私が運転手となりお客様を乗せ全国各地を走り回りました。
中でも印象にある旅行は、青森のねぶた祭り。
毎年280万人の来場といわてれおり、いくら探しても宿泊施設の空きは見つからず、どうしたものかとお客様と相談すると、「泊まらずに帰ってこようよ」という意見に皆一致。
片道600キロのコースを観光バスで向かいました。
1日で往復1,200キロはさすがに堪え、帰路の道の駅でギブアップ。
到着時刻が1時間遅れたのも今ではいい思い出です。
お客様との「楽しみと希望」を末永く共有できる人生は、誰もが体験できるものではありません。
より広くお客様と楽しみを共有しようと、「夢ハウス友の会」の活動は旅行以外にも、キャンピングカーの貸し出し、大型バイクでツーリング、クルーザーでの釣りやクルージング、ゴルフ、山荘の開放など、平日の旅行に御参加いただけない在職中の方でも、休日に御家族での思い出づくりのお手伝いを継続しています。
「自分が思い描いた人生を超える人生」を私は送る事ができ、この人生を送れる事に幸せを感じています。
夢ハウスの従業員300名。
この内どれ位の従業員が「自分が思い描いた人生」を送れるのでしょうか。
現状の仕事に満足し、仕事に追われる日々が続くと、人はどうしても困難や失敗を避けるようになります
それが、自ら「壁」をつくるということ。
むしろ苦境や逆境、無理や駄目な所から事態を好転させようという発想から良いアイデアは生まれます。
悩み、工夫を重ね、時には助力を得る。
「こうすれば会社は良くなる、お客様はこんな事をすればもっと喜ぶのではないか。」
そう考え、行動できる人がきっと「自分が思い描いた人生」を通り越し、「自分が思い描いた人生を超える人生」を歩めるのかもしれません。
私の残りの人生、再びあの時のように充実した日々がまた送れるかと期待しても、恐らくもう体験することはないと思います。
けれども、私は自分の人生に達成感のような思いもあり、悔いはないのです。
ふとリンカーンの言葉を思い出しました。
「何歳まで生きたかは重要ではない、いかにして生きたかが重要だ」
残りの人生健康に留意し、経験や知識を後世に伝え、仕事に趣味に1日1日を有意義に過ごせるようつとめていきたいものです。