2020-08-22
人生の経営者
「木造住宅って何年住み続けられるのですか？」
先日、住宅のセミナーを開催した時に、一人の女性から何気ない質問を受けました。
この何気ない質問の裏を読み解くと「木はいつか腐り、耐久性がなくなるでしょ」そう言われた様に感じてなりませんでした。そんな時、私はこんな例を挙げます。
現存する世界最古の木造建築物「法隆寺」です。1,400年の歴史を持つ法隆寺は、多くの大雨、驚異的な台風、大地震などの自然災害を受けてきたことでしょう。
ですが、それにも関わらず当時のまま現存していることで、木造が耐久性に優れていることを歴史が証明しています。また、築数百年の神社仏閣は日本に数多く存在しています。
ここでお客様が勘違いしやすいのは、"木造住宅"と"社寺"を別物だと思っていること。
「あれは神社だから。あれはお寺だから。あれは宮大工がつくった特別な物だから長持ちする。」でも実際は同じ木造建築。理屈は一緒です。
適材適所の材料、通気良く湿気を呼ばない伝統工法。先人たちは私たちに何が本物なのか、その答えをちゃんと残してくれています。なのに、実績を持たない新しい工法や製品が蔓延してしまうから、これから家づくりを考える人は、何が良くて何が悪いかの判断がつかなくなってしまいます。
人生は選択の連続です。選択を誤らないためには何が"本物"で何が"偽物"かを判断する『ものさし』を持つことが大切です。
経営者の立場からみた人生も選択の連続です。ですが一つ違うのは、自分の選択が従業員やその家族にまで影響が及ぶこと。
つまり「責任の重さ」が付き纏います。とても不安になることもありますが、それを払拭する術を学んできました。
それは『いつも10年後の自分を見据える』ことです。
自分がしたいこと、達成したいことを願い望み、10年刻みで必死に高みを目指します。
自分のビジョンをしっかり描くことで逆算して行動に移すことができ、自信が持てる様になって判断決断もしやすくなります。私の人生は常にこの繰り返しでした。
大工を志し、独立して会社を興し、人生を顧みる事無く、常に求めたのは「お客様が喜ぶ住宅」。
自分が現場現役の頃、木の狂い収縮に悩まされました。これじゃお客様に喜んでもらえない。世の中に理想の木材がないなら、自分で作るしかないと自ら開発した木材乾燥機。特許も取得し、今では全国の工務店がその木材で家を建てています。また大地震や巨大台風に強いパネル工法、水害に強い透水率ゼロの断熱材と丸型換気孔を使った通気工法。
近年では「真夏でもエアコンなしで家中涼しい大空間」を実現可能にした、太陽の熱を96％カットする屋根のパネルを開発。実用新案取得とさらに特許も申請中で世の中に夢ハウスしかできない技術を住宅に盛り込んできました。
10年後のビジョンと、その時考えうる最高レベルの建築を目指した結果として、今私は、創業当時思い描いていた理想の自分よりも遥かに上回れる人生を送れていると感じています。
人が生きると書いて「人生」。
人生においては誰しも皆、自分が人生の経営者です。
経営者と聞くと会社の社長を思い浮かべると思うのですが、そもそも経営とは「目標を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行い実行に移し、管理・遂行すること」です。人が計画立てて行う行動や勤しみは全て経営と括られます。幸せな人生、豊かな人生を送るには自分の経営次第。
何の目標も夢も持たない人生では、日々ぼんやりと過ごす事になりかねません。
自身の進歩や向上、生きがいを感じられるために必要なのは、やはり夢や目標だと思うのです。
その夢や目標を達成するための努力、苦労の積み重ねから人は成長し、良い成果を得ることがきるのです。
私自身が、目標も持たずいれば会社も小さく、従業員もおらず、当然全国展開もないでしょうし、世界的建築家・安藤忠雄さんや世界的デザイナー・コシノジュンコさん、経営の神様・船井幸雄さん他多くの著名人の方々と出会うことさえ叶わなかったでしょう。
自分が思い描いていた人生を上回る、そんな人生を送れている私はとても幸せ者です。
