2021-04-28
葛藤
長年会社経営に携われば、会社が"良い時"、そして"悪い時"が必然的に訪れてきます。
コロナ禍である今がまさにその"悪い時"だと思うのは、私以外にも多くの経営者が感じていることでしょう。
ここ新潟でも日々感染者は増加傾向にあり、近場で感染者の情報を聞く事も・・・、いよいよ間近に迫る「現実の出来事」として実感しています。
おかげさまで夢ハウスグループ従業員からは未だ感染報告はありませんが、それも時間の問題のような気がしてなりません。
新型コロナウイルスに限った事ではありませんが、例え個人一人が感染防止に充分な対策を講じていても、身内の感染や不意の密接など外的要因には成す術がありません。
残念なのは、感染を抑え込む術を多くの人は理解している上で感染が拡大しているという事。
「ちょっとくらいいいだろう」「自分だけはいいだろう」
報道などをみていると、そんな人たちが少なからずいるように見受けられます。
感染を抑え込むには、今一度国民全体で気を引き締め感染させない努力を怠らないようにしなければ、いつまでも終息は見えてこないのではないでしょうか。
会社経営も同じようなものです。
トップ一人、従業員一人が奮起したところで経営は何ら変わりません。
会社に携わる全ての従業員が「企業理念」の基、同じ目的・目標に皆が皆向かう事で会社は大きく成長します。
私が経営するにあたり、"いい時"よりもむしろ"悪い時"にどうするか、「危機管理」をいつも考えてきました。ここ40年以上気を緩めた事はありません、それがトップの務めだと思っていたからです。
「どうすればお客様が喜んでいただけるか」
「どうすれば良い会社になるか」
「どうすれば従業員を守っていけるか」
夢ハウスグループ従業員300名、その家族を含めれば1,000名を超える生活を支えていかなければなりません。
さらに、夢ハウスに共感いただいた全国のビジネスパートナー加盟店400社を含めれば気を張る以上のエネルギーを出し続けなければならないのです。
70歳を超えた今、気力と肉体のバランスが崩れつつあります。
気持ちは変わらず前へ、前へ進もうとするのですが、長年酷使してきた体が思うように動かなくなってきたと痛感しています。
特に冬場は朝の目覚めも悪くなってきましたし、仕事に就く前には必ず入浴や準備体操をして血行をよくしないと。油の切れた機械のように動かなくなってしまいます。
いつも若々しく気持ちを保っていることで「精神が肉体を司る」事ができると言いますが、毎朝運動や入浴をしなければ体は動かないと思うと、気持ちは滅入ってしまいます。
「精神が肉体を司る」
「肉体の衰えが精神を弱らせる」
その狭間で揺らぎ、ジレンマとなり私を悩ませています。
会社を「継続」させる、その事自体は会社の土台が盤石であればそう難しい事ではありません。
しかし、「継続」と共にさらに「発展」していくのであればそれは容易い事ではありません。
心血を注いだ人生を送り、私が導き出した一つの答えに「職を全うする」ということを挙げる事ができます。
例えば学校の先生。
教育者の人生のゴールは学校長になることでしょうか。
職位を上げることだけが人生を全うしたという事にならないと思うのです。
教育者の本分は「教育」。
いかに生徒に慕われるか、いかに生徒を導けるか、職位に関係なくそれが出来ている教育者を私は尊敬します。
住宅建築にとって「職を全うする」ということは「人間が生活する最適な空間を提供」するという事。
お客様の理想を超えるような夢の住宅を提案し形にする、一世一代の買い物を「夢ハウスに頼んで良かった」そう応えていただける仕事を続けていかなければなりません。
「カタチあるものいつかは朽ちる」とは諸行無常の教え。
会社も私も永遠ではありません。
この世に存在するすべてのものはいつも流転し、常に変化や消滅するかもしれない危機感と向き合っていなければなりません。
"永久不変"なものや"絶対"というのは「死」しかないのです。
ただ少しその教えを抗(あらが)うのであれば、私はこう付け加えたいのです。
「カタチあるものいつかは朽ちる」
「しかし、人はその朽ちる時間を次代に引き継ぎ延ばすこともできる」と。
1,000を超える従業員とその家族、私たちを信頼して頼ってくれる全国の工務店400社、そしてお世話になったお客様を守るためにも、会社の継続と発展、次代へのバトンをうまく渡せるかが今の私の使命です。