
2018-03-24
些細なことほど「〜かもしれない」と経営にいかす
春の香りにさきがけた如月も終盤の候。
芽吹きのエネルギーと歩調を合わせるように動き出したチャレンジ欲は春陽の兆し。
2月の下旬、パラグライダー日本チャンピオンの五十嵐さんに指導を仰ぎ、同行した一週間は神崎(千葉)から始まり、静岡・岡山・鳥取と各地で得られた人との絆、技術や壮大な風景は私の財産となりました。
日頃張り詰めた糸を緩める「楽しみ」があることが幸せであり、その「楽しみ」を共有できる仲間がいるから幸せは深くなる。
その幸せから得た、新たな発見やアイデアが張り詰める糸をより太くする。
幸せだと思うことに幸せが訪れる事を知れば、幸せは案外容易く訪れるものかもしれません。
この一週間、特に印象深かったのが神崎(千葉)での出会い。
その男性は、海に潜るダイビングやスカイダイビング、その他あらゆる経験をしてきました。しかし、気付けば自分で空を飛んだ経験はないと1年前にパラグライダーを始めたそうです。
驚く事にその男性の年齢は84歳。
80歳を過ぎてなお、チャレンジする・チャレンジできる精神、「青春は年齢ではなく、精神の持ち様」を体現している事に敬服しました。
体力的に30kg近いエンジンは担げないからと、エンジンにタイヤを3本取付け、足腰の負担を減らし滑走から飛行する姿に感動を覚え、私もまだ67歳、負けてはいられないと勇気をいただきました。
今回の旅では、それぞれのエリアでどんな事故が起きたのか聴取する機会もあり、事故の未然防止の在り方、備え方を改めて考えさせられる旅でもありました。
パラグライダーは、正しい乗り方をしていれば安全なスポーツだと私は豪語できます。
しかし、残念な事に命に関わる重大な事故が起きてしまう事もあります。
事故の大半は「自身による不注意と整備不良」。
「落下する事はないだろう」。
それはいつもと同じフライト。いつも飛んでいるから大丈夫と慢心から生まれた結果なのでしょうか。その日はたまたまなのかライフジャケットを装着せず飛び立ってしまいました。異変に気付いたのは恐らく上空、エンジンが停止し操作が効かず30kg近いエンジンを背負ったまま川へ水没。尊い命が失われてしまいました。
また、こんなケースも聞いています。
飛行中に誤って開いてしまった緊急用のパラシュート。こんな時は、アクセルの操作は絶対にしてはいけない事が鉄則なのですが、何が起こったのか分からず動揺したのでしょう。鉄則を忘れアクセルをふかしてしまいました。直後、パラコード同士がスパイラルに絡み合いそのまま落下してしまいました。
「~だろう」という意識は、自動車を運転している方であればお分かりのように、重大な事故に繋がる危険が高まる判断です。
「点検しなくても大丈夫だろう」「いつも飛んでいるから大丈夫だろう」
「~だろう」と、思い込みの勝手な判断が尊い命を失ってしまいます。
これが、「~かもしれない」という意識であればどうだったでしょうか。
「飛行中にエンジンが停まってしまうかもしれない」「何かの拍子で海へ落下してしまうかもしれない」
「~かもしれない」意識は、注意力が高まり視野を広くし事故のリスクを大きく減らします。
これは、パラグライダーや自動車に限らず、普段の仕事など多くの事に言えることだと思います。
会社経営にしても、「今年も多くのお客様から信頼を得られたから、きっと来年も大丈夫だろう。」そんな勝手な判断で経営しては、周りが見えなくなり衰退していくことでしょう。
「~かもしれない」という意識を常に持つことで、お客様がこんな事に困っているのではないか?こんなものが欲しいのではないか?相手の立場で考える事で先手を打つ事ができるようになります。
普通(些細)な事ほど難しいと言いますが、「~かもしれない」意識でいる事もいざ実行に移すとなると、同じ様に難しい事なのかもしれません。
難しい仕事というのは、些細なことの大きな集合体です。
些細な事ほど人は省いてしまいがちですが、どんなに些細なことでも、平凡なことでもそれを疎かにせず日々を積み重ね、そこに知識と経験を加えていく。
これが、信頼へと繋がり、お客様より信頼を得られる第一歩になるのではないでしょうか。
「些細なことほどおろそかにしない。」