2015-07-02
運のいい人生
一作日、世界の建築家安藤忠雄さんから私の携帯に連絡がありました。
最近は私の身体を案じて頻繁に電話や手紙を頂戴します。
ふと思えば、こんな田舎の一建築屋と世界の建築家がお付き合いできるなんて、若い時には思いもしませんでした。
安藤忠雄さん然り、コシノジュンコさん然り世界的「偉人」と交流を持てることはとても特別な事であり、特別な人生だと改めて感じます。
めぐり会い、出会いによって繋がる関係はその人の人生の生き様を反映しているものだと思います。
経営コンサルティング業界の最大手、㈱船井総合研究所の会長船井幸雄さんも影響を受けた一人。
船井さんが亡くなられて、早1年半。
生前、公私共に親しくさせていただき、多くのご指導を賜りました。
「赤塚さん、あなたは本物をつくってる」と、船井会長ご自身のご自宅も夢ハウスでお世話になりました。
(2003年5月 船井会長御夫妻と夢山荘の大自然の中で朝食)
初めてお会いしたのが今から15年前。
物静かでいて物怖じせず、眼光鋭く、あまり笑うという事もなく、大物独特の雰囲気ある佇まいが印象的でした。
しかし、初めてお会いしたのに、その風貌が以前どこかで拝見した事があるように感じていました。
今思えば、世界を相手に命懸けで真剣勝負を挑んだ海軍司令官の山本五十六に顔立ちからよく似ていると感じています。
各分野での知識も広く且つ深く、以前船井会長宅へお邪魔した際、私が「会長、木の含水率ってご存知ですか?」と尋ねると、一言「わかるよ」と。
まさか含水率なんてわからないだろうと半信半疑でいると、「ほら、これだよ」と含水率の本を差し出して来られました。
経営界のトップに昇りつめてもなお、多くの知識を学び得ようとする姿勢、その貪欲さに感服した事を覚えています。
良いもの(本物)と悪いもの(偽物)を見抜く洞察力も大変優れていました。
本物を見抜く洞察力の基となる「波動」「オーラ」という言葉の意味も船井会長より学んだ事の一つです。
自然界にあるもの全てには「波動」「オーラ」がある事をご存知でしょうか?
私が展示場の装飾用として美術品の絵画を物色している時の話です。
並びで2枚の絵画が飾られていました。それぞれを観察していると一方の絵画からは視覚だけでなく、心に訴えかけてくる力のようなものを感じました。
これが波動というものなのでしょう。
2枚の絵画それぞれに出ている波動はハッキリとその違いが感じ取れます。
値段を見ると案の定、心に訴えかけてくる絵画の値段はもう片方の絵画の値段より10倍高かったのです。
こんな出来事も思い出しました。
住宅づくりの参考に船井会長とある展示場を訪れた時の話です。
新建材でつくられたその住宅は見栄えのいいモダンなつくり。しかし、船井会長が玄関に足を踏み入れ開口一番おっしゃられた言葉が、「帰るよ。」
私は面食らい理由を尋ねると「私はこういう住宅があまり好きではない」。
恐らく、この住宅から出る波動やオーラで偽物だと見抜いたのでしょう。
本物を見抜く船井会長のご自宅には桐材が多く使われています。
桐はゴマノハグサ科の植物。
特徴として、抗菌作用や調湿作用が挙げられますが、実は防火作用もあるのです。
人生のはじまり、へその緒を桐箱に収め、人生の終わりには桐の棺桶に収まります。
天皇陛下が住まわれている御所や城の階段にも桐材は崇高なものとして使われています。
こうして船井会長を思い出す度にまだまだお話したい事、教えを請いたい事が溢れてきます。
故人の偉大さを痛感しつつ、この素晴らしい出会いに感謝いたします。
大きな夢や目標を掲げ、人のめぐり会いに日々感謝の気持ちで接していれば、自ずと応援者が現れます。
その応援者が夢や目標を叶える後押しをしてくれるのです。
素晴らしい人とのめぐり会いは、人生を豊にするチャンスです。その人の何がどう素晴らしいのか探り、自分の糧として取り入れようと試みてください。
私はそれを、「運のいい人生」と呼んでいます。
運命は、時に「偉人」と呼ばれる人とめぐり会わせてくれます。
長い人生を生きて行く中で、人は一体どれだけの人とめぐり会うことができるのでしょうか。