
2015-05-13
夢中になれる事がある限り人生はまだまだ面白い
2015年ゴールデンウィーク。
空は快晴、風速2〜3m吹き流しが程よくなびく午後・・・
「大空を鳥のように翔けまわりたい。」
幼少からの夢を叶える64歳の出来事は「最高の感動」という言葉では言い表せないほどの経験でした。
その日は絶好のフライト日和、今までご指導くださった多くの先輩方に見守られ、今日は絶対に飛ぶぞ!と私たちの気持ちは完全に一つになっていました。
入念なセッティングとチェックを済ませ、定位置に着きます。
無線でGOサインの指示を待つ間、心臓が張り裂けそうなくらいの緊張感が走ります。
真正面からの向かい風、合図と共に体の重心を前にもっていくと勢いよくキャノピーが舞い上がり、コードを通じて両手から全身へと一気に風圧がかかります。体が後ろへ引っ張られながらも、キャノピーを真上にとどまらせアクセルを握ります。
「今だ!!」
エンジンの回転数が上がり、ブォォォという音と共にフワッと両足が地面から離れました。
高度と共に私の興奮も上がり続けます。
どんどん高まる気持ちを抑えながら、高度を読み上げました。
高度180m・200m・250m・・・右へ・・・左へ・・・
轟々と押し潰されるような風圧のうねりは、行く者を阻むかのように重く、身体全体を突き抜けていくようです。
次々と瞬時に空間の形を変える様は、まるで風の迷宮。
一度の判断ミスが命とりとなるこの舞台の道標を探り、神経を研ぎ澄ませました。
上空400mに差し掛かる頃・・・
地上よりも大きく見える太陽は、どこまでも続く水平線をさらに壮大にし、新緑の山々をより鮮やかに映えさせます。真下を翔け舞う鳥たちの行く先を追えば、その先は残雪眩しい飯豊山。上空からの雄大な姿は、まるで初めての単独飛行を祝福してくれているかのようでした。
大空で自由になれた瞬間です。
無線でランディング(着陸)の指示が出され、指導者からの完璧な指示のもと、怪我をすることもなく無事に再び地に足を着けることができました。
着陸と同時に私に駆け寄ってきてくださった皆さん。そのホッとした開放感に満ちあふれた笑顔は今でも忘れられません。その場の雰囲気から何気なく起きた万歳三唱に、感動と興奮と感謝の気持ちで思わず目頭が熱くなりました。
これだけの素晴らしい指導者、友人に恵まれた事は、自分が夢を叶えた以上の宝物になりました。
わずか10分弱の初フライトに感じていたのですが、皆から掛けられた言葉は
「赤塚さん、初フライトなのに30分も飛んでいたよ!」
私は楽しさと興奮のあまり時間を超え、そして次元をも超えていた様です。
厳しくもあたたかい指導者との出逢いと後押しがなければ、叶わなかった「大空を翔る」という夢。
64歳にしてもなお、これほど人生を「夢中」にさせていただいた『パラグライダークラブ』の皆さんには、感謝の念に堪えません。
本当に、本当にありがとうございました。
人は誰しも夢を持っていると思います。
その夢を実現させるとき改めて思う事、それは『多くの人々の支え』で今があるということ。
しかしこれが本当に理解できるのは、夢を共有できた輪の中にしか見いだせないのかもしれません。
初フライトから早半月、暇を見つけてはフライトに勤しみます。
より高く、より遠くへ・・・
空を翔ることはとても奥深く、駆け出しの私にはまだまだ学ぶべきことが多いと実感しています。
夢を追う事、夢中になれる事がある限り人生はまだまだ面白いのです。
皆さんも時間を忘れるほど何かに夢中になれる事、ありますか?