
2013-10-29
一番感動した出来事は何か
普段の何気ない日常の中でも考えさせられる行動や言動があるものです。
「今までの人生で一番感動した事って何ですか?」
それは、いつもと変わらぬ家族団欒の夕食の日常。
和やかな時間の流れる中での一幕。
突然の義娘の一言で考えさせられました。
人生の中で感動した事は数え切れないほどあります。
創業記念パーティーでお客様から感謝状を頂いた事や、独立後念願の仕事を頂いた事、伝統建築を目の当たりにした時や季節の変わり目を肌で感じた時などなど・・・
思い出を挙げ出せばきりがないのですが、どれも「感動」という言葉で表せるものです。それに優劣をつけるとなると一筋縄ではいきません。
私は直ぐに答えを出せずにいました。
そこで反対に「一番感動した出来事は何か」と義娘に聞き返します。
すると義娘は迷わず、「5ヶ月前、激痛に耐えながら子供を出産した事」と答えました。
同じ質問を息子にも投げかけます。
息子は少し悩んだ後、「無我夢中で勉強し、司法書士試験に合格した事」と答えました。
二人の回答を聴き、妙に納得できました。
そして、ようやく私も答えが見つかったのです。
それは今より30数年前、当時27歳だった私は一大決心をし、多方面から借金をして山林を買い付けました。その額は当時で2,000万円。
広大な山林の立木を手中に収めたのはいいのですが、震えが止まりませんでした。
風で立木が倒れたりしないか、誰かが切ってもってゆくのではないか、
何より借金を返さなければならない、うまくいかなければ首を吊るしかない。
何日も眠れない夜が続きました。
借金返済に苦悩していた頃、ほどなく人生の転機が訪れました。
この山林を買い付けたいという人が現われたのです。
買値額は私が買い付けた金額の倍以上。
思わず拳を突き上げ歓喜の声を上げていました。
歓天喜地(かんてんきち)とはこの事です。
そのお金で借金を返済し、残りの全てを製材工場や事業財源として運用しました。
二人の回答と私の逸話には共通点があります。
それは、「命懸けでチャレンジし、人生を成し遂げている」という事。
そしてそれは利己的なものではなく、他人の為。つまり社会貢献に繋がっている、という事です。
出産は女性特有の大仕事。命懸けで子供を産み、その子供は未来のこの国を担う人材となります。
司法書士試験は合格率数%という狭き門。
2年間チャレンジし合格した彼は今や世の為、人の為に邁進する司法書士となりました。
人生には様々な困難に立ち向かい、チャレンジしてもうまくいかない事が多々あります。
それでも何度も挑戦し一筋に、一途に何かをやり遂げ、結果としてそれが社会貢献にも繋がっている事を確信した時、人生で忘れられない感動として人生に刻まれるのではないでしょうか。
そのような感動が、一つではなくいくつも刻まれている人ほど、素晴らしい人生を送っているように思います。