
2013-06-21
実体験からひらく豊かな人生
自宅にいながら知りたい情報を瞬時に調べられる時代。
電話一つ、インターネットのクリック一つで自宅に何でも届く時代です。
物や情報が溢れる便利で豊かな生活が当たり前のようになり、さらなる進歩はとどまる所を知らず、果たして「人間の行き着く先」はどこなのか興味深く考えたりもします。
先日、薪ストーブを導入いただいたオーナー様を対象に「薪つくり体験会」を開催致しました。
弊社では、薪ストーブの燃料である薪を随時安定供給しております。
しかし、暖房シーズンを迎える毎年10月下旬頃から、薪の需要が急激に増え始め、急を要する薪の調達や配達が困難になってまいりました。
そこで、薪の準備、調達から薪割りの方法、道具の扱い方などを学んでいただき、今の時期から先駆けて、暖房シーズンを快適に過ごしていただけるよう企画しました。
当日は60名ものご参加をいただき、午前10時から午後3時まで丸一日、薪割機4台を導入しての本格的な講習。1人では重労働な作業も御夫婦、親子で汗を流し、合間にスタッフが昼食にと仕込んだ心のこもったとん汁に舌鼓、皆で楽しみながら笑顔で作業していたのが印象的でした。
ひと昔前、化石燃料が未だ普及していない頃、暖をとるだけでなく、食事の調理や風呂など生活に欠かせなかったのが薪でした。
昔の人はその家を見ると、そこにお住まいの方が「心の豊かな人」かそうでないかがわかったそうです。
「心の豊かな人」は生活にも表れ、3年・4年分の薪を前もって調達する為、家の周りには薪が山のように積まれていたそうです。
一方「心貧しい人」は、土壇場で薪を確保しようとする為にいつも家の周りには薪がなく、冬を辛い思いで過ごさなければならなかったそうです。
そんな訓示をおりまぜながら薪割り体験をしていただきました。
少し額に汗を流すだけで、いくらでもある燃料。
薪を確保する術、薪を割る術、薪を保管する術。
昔は当たり前だった事も時代と共に薄らぎ忘れ去られていくものが多々あります。実際に携わる人も少なくなりました。
しかし、その中には人間が生きていく上で糧となるものもあるのです。
先日も山に入った時、従業員が山菜の見分けができない事に驚きました。
自然の恩恵である山菜。
わらび、こしあぶら、タラの芽、もみじ菜、葉わさび・・・
こんなにおいしい食材を知らず、調理もできず、見分けることができずにいることに「人生もったいないな」と感じずにはいられませんでした。
「食味」という言葉をある教授に聞いた事があります。
10歳までに口にした物は生涯食す事ができ、逆に食べないとその先もずっと食べる事ができない好き嫌いの多い子供になるそうです。
山菜などを親世代が食べないでいると、当然子供も食べません。
自然と共に生きてきた人間本来の原点を我々は忘れつつあります。
情報だけでなく、いろいろな実体験を兼ねること。
薪づくりにしても、山菜採りにしても、吸収しようと思う心一つ、その一歩を踏み出すだけでまた新しい世界が拓け、豊かな人生を歩めるのではないでしょうか。