
2012-11-24
薪ストーブ開発の先にあるもの
「ものづくり」とは、その過程において常に何かの障害がつきまといます。
製品のデザインや設計に関わること、コストのこと、何よりお客様のニーズに合っているかということ・・・。
それらがクリアできて初めて「ものづくり」の作品は完成するのですが、実際はそれだけではありません。
より多くのお客様に"良いものを安く"届けるためには大きな壁をもう一つ超えなければなりません。
それが【新規参入の壁】です。
大概の商品には、既に販売を手掛ける組織が存在します。
またその傘下の販売店も存在するものです。これらの組織は、独自の販売ルートや価格の規制を持ち、そこからの脱却が難しく出来ています。
また、組織はそのルールを崩されることを恐れます。
言うなれば保守的なグループが商売の柵を作ってしまっているのが現状です。
本来ならば、末端のお客様が良いものを安く手に入れられるように努めるのが組織や企業のあるべき姿ですが、現実はそれとは異なり売り手の都合によって成り立ってしまっています。
お客様(市場)のニーズを一番に考えれば、売り手の都合など関係ないはず。
何でも自ら作り、施し、使ってみる。そして改善して、販売計画を立ててコストも下げる。この繰り返しの努力こそ、ものづくりに必要な作業であり、市場に必要とされ、認められる商品となるのです。
夢ハウスが今、この新規参入の壁を超えようと力をいれているのが、薪ストーブの"煙突"の分野です。これもまた柵が敷かれた独特な業界。
新参者の私たちが、突然飛び込んでも受け入れられない世界でした。
しかし、薪ストーブ本体と同じくらいの仕入れコストがかかる煙突は、末端の薪ストーブ販売店にとっても大きな悩みの種。特に断熱の入ったステンレス二重煙突は、なかなか値段の下がる商品ではありません。
私たちも昔から、薪ストーブをより多くのお客様に勧めるに当たり、煙突のコストは大きな障害となっていました。ですが、必ずどこかに良いものを安くする術は存在します。
製造業者・工場を抑え、開発にも携わることのできるパートナーと組み、直接仕入れることによって、独自の生産ルートを確保しました。
また、今まで自分たちが施工してきた経験から、改善できるものは改善し、より合理的な商品も開発できました。
煙突の先に取り付ける"トップ"と呼ばれるパーツは、強風でも逆流しにくい構造とし、さらに軽量化を図って安定するパーツに独自改良しました。重い二重煙突をしっかりと支えるように、支持金具も頑丈に作り換えるなど、施工する人や使う人のことを考えて様々な開発商品も手掛けました。
先日、私自ら行商にまわり、販売店の方々に商品の価値説明と値段の話を提案してきました。すると皆一様に驚き、是非取り引きしたいという声を数多くいただいたのです。
先駆者には受け入れられなかった商品たちが、市場のニーズによって今まさに飛び立とうとしています。
これで良いということなど、世の中には一つもありません。
ここで良いと留まれば誰かが追い越し自らは衰退します。
万物は守りを固めず常に攻めの姿勢で励むことこそ、人々に愛され繁栄に繋がるのだと思います。
かつて漢民族が築いた万里の長城がチンギスハーンによって難なく突破されたように、歴史にもまた守りの教訓が表れています。
いいものを安くお客様に提供する事が夢ハウスの目標であり、願望です。
これまでも沢山の方に、「何故ストーブまで開発するのですか?」と尋ねられる事がありました。
一工務店が住宅という「器」以外に力を入れる事を不思議に感じ、またナンセンスに思う方が多いのかもしれません。
しかし、「衣・食・住」の「住」とは単なるものづくりの「器」だけにとどまらず、生活する上でのあらゆる切り口を追求し、提供する事こそ「住」のものづくりだと思うのです。
だから、私は決まってこう応えます。
「ただ、ものづくりが好きだからです」と・・・