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事例
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株式会社MAJUN 介護センター 福ら舎 様

代表取締役 宮里 肇 様

Q.01-
デイサービスのビジョンやコンセプトを教えてください。

会社名はMAJUNといいます。MAJUNは沖縄の方言で「共に・一緒に(together)」という意味です。利用者さんもご家族も、そして自分たち職員も一緒に考えて事業を進めていきたいという思いを会社名に込めました。

また「福ら舎」という事業所の名前も沖縄の言葉です。「喜ばしい・嬉しい」という意味と“誇りをもって”というニュアンスがあります。

利用者さんには、新しいデイサービスを昼間にご利用いただき、朝夕は隣の有料老人ホームで過ごしていただいています。朝起きたらデイサービスに行って食事をとり、夕食後にホームに帰るという形です。以前からデイサービスを運営していましたが、人手不足で利用者さんの送り迎えが難しくなり、隣のホームから通うという形に切り替えました。

デイサービスのコンセプトは“楽しみを築く”という意味の「愉築(ゆちく)」です。養生する場所ではなく、ここに来ただけで楽しく、居心地がよく、豊かな気持ちになる。そんな場所にしたいと考えています。たとえば、ゆんたくしたり、おいしいものを食べたり、お風呂に入ったり、時々は誕生日会などの行事も実施しますが、基本的には「家庭で過ごしていること」が1日のルーティンになります。

以前は、地域の舞踊場の子供たちがデイサービスに来て、踊りを披露してくれることもありました。運営が落ち着かないと、地域交流の準備などが難しいですし、人手も必要ですが、新施設の広間の畳は舞踊のステージにもなります。ここ数年はコロナ禍で行事をまったくできていなかったので、今後はそういったこともやっていきたいですね。

ただ普段お家でどんなふうに過ごしているかをイメージすればわかりますが、しょっちゅう特別なことをするわけではないですよね。テレビをみたり、ゆんたくしたり、お茶したり、無理に何かをするわけではなく、ちょっとした時間を過ごしていると思うので、職員の仕事もお食事の提供やお掃除といった生活支援がメインです。利用者さんには普通の家庭で過ごしているように、ここで一日ゆったり過ごしていただいています。

Q.02-
夢ハウスを知ったきっかけを教えてください。

以前からデイサービスを建てようと計画していましたが、実施段階で予算や工期を調査してみると、建材の単価が上昇していて、かなり予算オーバーになることがわかったんです。さらに工事現場のスタッフを確保できない、工期が想定以上にかかるという状況が続き、どうしたものかと悩んでいました。でも「どうしても建てたい」という思いが強く、お隣の山を造成して建てようか?それとも近くの空き地に建てようか?と立地についても色々考えていたところ「ここしかない」という良い土地を見つけたんです。でもコンクリート造で建てるには予算的に難しいという状況は変わりませんでした。そんなとき、北谷に夢ハウスのモデルハウスがオープンしたことを知り、見学に行きました。そこで店⻑さんから夢ハウスの建物の素晴らしさをお聞きし、定期的にモデルハウスに出入りするようになったんです。デイサービスの建築についても相談するようになりましたが、夢ハウスは福祉施設を建てたことがないということだったので、まずは色々とご検討いただき、最終的に「やってみましょう」という良いご返事をもらいました。

建築できるという見通しがたったあとで金融機関に掛け合い、見積もりをいただきながら話を進めていきました。ニュースで「病院や福祉施設の木造化を推進していく」という国の方針を聞き、タイミング的にもちょうど良いと思いましたね。その方針が実施段階になるまでには時間がかかりそうですが、とりあえず、こちらからの要望を夢ハウスに出して、それを検討していただきました。そこからは一気にトントン拍子。2つの金融機関から融資を受け、夢ハウスには地元の方々への対応に加え、建築確認申請や色々な調査をしていただきました。ミーティングの段階で100の要望を出すと、120 の回答が返ってくる。そんなたくさんのご提案をいただきながら、かなり細かな要望も取り入れてもらい、結果的に自分たちが思う以上の施設ができたと思っています。

Q.03-
木造施設を建てることに不安感はありましたか?

沖縄は地震はあまりないですが、夏の暑さや台風の心配はあります。コンクリート造の建物は、けっこう夏が暑いんですよ。ただ首里城の火災もあったので、安心できる環境を整えるために「やれることは全部やろう」ということで、 可能なかぎりの対策はしています。夏の暑さや、梅雨の時期はこれからですが、クロスが珪藻土なので湿気の調節はできますし、空調機も設置しているので対策は万全です。

私はモデルハウスに行くのが好きで、一年に一回は足を運びますが、そのたびに増築したり、進化している家を見ると、そういうことはコンクリート造ではできないだろうなとも思うんです。また以前、夢ハウスが建築している建物を見に行ったときに、しっかりと説明してくれる若い棟梁の話を聞いて「これはきっといいものができるだろう」と確信したんです。数年にわたって様々な角度から建物を見させてもらい、夢ハウスで木造施設を建てたいという気持ちが高まりました。

Q.04-
木造施設の魅力を教えてください

これまで「自分の終の住処はこんな感じにしたいな」と考えながら、モデルハウスを見学していました。そんな場所が、利用者さんの終の住処になるなら最高ですよね。私もいずれは、このような施設にお世話になるでしょうし、木造の施設を建てることは利用者さんにとっても幸せなことだと思います。よく「コンクリート造で内装を木にする」ことはあると思いますが、滅多に木造施設ってないですよね。私自身も木造の空間だと家でくつろいでいるようでホッとしますし、利用者さんのご家族からも好評のようです。まだ運営を開始して数日しか経っていないので、利用者さんやご家族、職員からの意見はこれからもっとでてくると思いますが、第一印象としては、天井の高さや窓の大きさにみんな驚いていました。これまでは平天井でしたが、新施設は開放感があってとても気持ちがいいですし、クロスも気に入っています。先日、夢ハウスの社長に「天井や壁板にまったく節がないですね」とお伝えしたら「一本の赤松から5%くらいしかとれない部分をかき集めて使っている」と教えていただきました。マグロにたとえると、トロのようなものだそうです。そのような素晴らしい材質はもちろん、心地よい空間をつくる工夫が随所に施されていると感じています。

またエレベーターも特徴的で、通常の木造エレベーターは3人までしか乗れませんが、新施設のエレベーターは11人まで乗れますし、数台の車椅子も一緒に乗ることができます。

Q.05-
「建築前の不安」「建築後の不満」があれば教えてください。

今思えば利用者さんが“一人になれる空間”もつくってあげればよかった。気分が悪いときや一人でゆっくり過ごしたいとき、食事だっていつもはみんなと食べるのが美味しいけど、一人で食べたいときもあると思います。近くに人員は配置しないといけませんが、そういう一人になれる空間がもっとあれば良かったですね。ただ前の施設では死角があって職員同士がアイコンタクトを取りにくかったので、今はある意味、見通しのよい環境で運営できています。

あと気になるのは1階にお風呂と厨房があるので動線が長くなり、少し使い勝手が悪くなったことと、まだ実際に起こっていないですが、出入口の通路の天井が思っていたよりも低いので、万一、利用者さんを緊急搬送する際に救急車が通り抜けできない可能性があることです。救急車を停めてストレッチャーを活用することは想定していましたが、やはり搬入が心配なので、今は緊急時に備えた対策を職員と考えているところです。

職員からの意見としては、ある職員に「社長、お部屋がきれいすぎる」と言われました。私は汚れや手垢も、いい意味で施設の「変化」だと思っていますが、トイレでの粗相や食べこぼしの際の掃除を心配しているスタッフもいます。また、少し贅沢を言えば、職員が休憩できる場所もつくっておけばよかったですね。職員にとっては前よりも働きやすい環境になったと思いますが、まだ細かな意見は聞けていないので運営しながら話し合い、一緒に色々なことを決めていきたいと考えています。

Q.06-
「もっと居たい、明日も来たい」と実感できる理由を教えてください。

とにかくここは、気持ちの良い空間です。緑に囲まれた静かな環境なので、虫や鳥の声も聞こえますし、帰ってきてスーッと気持ちが鎮まるというか、スッキリする感覚があります。利用者さんには、そんな瞬間的な心地よさを毎朝感じてもらいたいですね。これからはもっと外に出かけて、自然に触れる機会もつくっていきたいと思いますが、何もしなくても、ただここにいるだけで心地よいと感じられるのが新施設の魅力でもあります。

他の施設に行くと玄関にすごい置物や絵画が飾ってあるじゃないですか。それをいいと思う人がどれだけいるのかな?と思うときがあるんです。夢ハウスの建物を見学に行ったときに実感しましたが、建物そのものが芸術であり作品ですよね。うちの施設 は食事の提供がありますが「お茶と黒砂糖があれば、1日過ごせる」と思えるほど素敵な空間だと思っています。もちろん、施設に必要な掲示物はあります。ただそれ以外の特別なものを飾る必要はなく、逆に飾る方が目障りかもしれません。

Q.07-
最後に今後の展望やメッセージをお願いいたします。

介護業界では人手不足が問題になっていて、きつい、汚い、危険、給料が安い、休暇がとりにくい、カッコ悪いという6Kという言葉があります。私はこの6Kをクリアしていきたいんです。どうすれば6Kをクリアできるかというと、やはり環境改善だと思っています。たとえば、働きやすく、居心地が良く、印象が良いこと。お給料や休暇の問題もありますが、少なくとも出勤して気持ち良く働ける環境を提供することが自分の課題だと思っています。今回、木造のデイサービスを建てたことで、私自身が最終的に住みたいと思える空間が実現できましたし、6Kのクリアという一つの目的も達成できたと思っています。また工期がすごく短かったことも満足しています。コンクリート造だと1年以上かかるのが普通ですし、コストも倍以上かかると聞いていましたが、木造の場合はほぼ半年で完成しました。建築確認申請がおりるまでに時間がかかったり、台風で多少の遅れはありましたが、ほとんどスケジュール通りに進み、2023年3月15日から運営を開始できました。

沖縄は台風がありますし、万一の火災を考えると、割と当たり前のように「コンクリート造で施設を建てよう」となりがちです。でも、本当は「何を優先すべきか」をまず考えることがとても大切だと思っています。私は施設のリハビリ器具にも「木材が使われていればいいのにな」と思うことがあります。それは、家のようにくつろいでいただきたいデイサービスが機械室みたくなっちゃうと、あまり家庭的とは言えないですよね。木のリハビリ器具があれば生活空間にも馴染みますし、家庭でも違和感なく使えます。また木は年齢を重ねても人の手に馴染む材質だと思うので、木で作られた脳トレとか、ちょっとしたゲームがあれば、すぐに取り入れたいと思っています。

回想法で昔を思い出すとか、昭和風にするとか、これまでの介護や施設づくりは、過去を重視していたと思いますが、私は逆なんです。「今」を一緒に楽しみ、「今」あるものを導入して、将来きっとこうなるであろうものをみんなに見せていきたいと考えています。この時代を一緒に楽しみたいので新しいものを積極的に取り入れますし、ネット環境などもしっかり整備しています。6Kという言葉があるように既存の介護業界のイメージは良いものとは言えませんが、それをすべて切り崩していきたい。逆に職員の子供がお父さんとお母さんの職場に行ってお手伝いしたいと思えるように、業界のネガティブなイメージを切り崩していきたいんです。そのきっかけが新施設の建築だったと思っています。