天井から水滴が落ちる家に苦悩した日々
自然素材を用いたフリープラン住宅「真・呼吸の家」そして提案型規格住宅「郷の家」と、2つの柱で皆様に住まいをご提案している私たちハウジングサービスは、
工務店としては少し異色の成り立ちを持つ会社かも知れません。社長を務める牛若正夫は、元々は海上自衛隊の隊員。潜水艦に乗務していました。隊を退いた後、コンピュータ会社や銀行員といった自衛隊とも家づくりとも全く関係のない職を経て1977年、28歳の時に故郷の福井にUターン。母方の実家が建築も手掛ける製材所だったこともあって興味があった建築業界を志し、大手住宅メーカーに就職します。後に「潜水艦の中の居住環境は、それはもうひどかった。あの狭い空間の3段ベッドに押し込められる日々は精神的に追い詰められる。広さのある居住空間の大切さが身にしみた」とも話した牛若。「快適に住む」ことへのこだわりは、幼少の頃に目にした製材所の木々、職人の技の記憶と潜水艦での体験に裏付けられたものと言えましょう。
大手住宅メーカーでの牛若は、持って生まれた営業力と自衛隊で鍛えられた気持ちの強さでトップセールスマンへと上り詰めます。自社で建てた家に自ら住み、家庭も構えて忙しく過ごす日々。ところが、明るい未来を思い描いていたところに暗雲がたちこめます。「冬になると天井裏が結露して、水滴が落ちてきたんです」。これはすなわち、自分が売ってきた家にも同じ現象が起きることを意味しました。お客様が懸命に貯めた大事なお金をかけて、建てて頂いた家。その天井から水滴が垂れてくる。次々と寄せられる苦情と罵声。原因は、東京で設計した住まいを豪雪地帯の福井でそのまま建てたことによるものでした。
「お客様の夢を壊してしまった」との思いを募らせた牛若は、悩んだ末3年務めたその会社を退社。胸には「家は買うものではなく、つくるもの。お客様の暮らしと家族の歴史を何十年も見守ることができる家づくりが、つくり手の使命だ」との思いを抱いていました。