世界の森は減っている。しかし...?
ご存知のように世界から急速に森が減少しています。
森は動植物の住みかであると同時に、二酸化炭素を吸って、酸素を排出する大切な場所。 もう切らない方が良いと考える人も多いでしょう。
ところが、驚くなかれ。実は切った方が良い森もあるのです。
環境破壊の例としてクローズアップされるのは熱帯雨林ですが、これらは一度木を切ると、切る以前の森に戻りにくい風土。また、切りっぱなしで植林の努力もほとんどされていません。しかし、日本のように古くから木とつきあってきた国は、ほとんどの森が人口林。これは世界でも珍しいことで、また、あまり知られていませんが日本の森では木が余っている状態なのです。
先人は知っていた。森と暮らしの関係を。
日本人は昔から生活に木を利用してきました。家や船の材料に用いて、材料にならない木や枝は薪などに使い、けっして無駄にはしませんでした。そして切った後は必ずまた木を植え、育ててきました。
意外かもしれませんが、他の国では植林の歴史がほとんどありません。植林は日本人が培った知恵でもあるのです。
森がない裸地には地面に雨が浸透せず、多くの水が川へ流出する。そのため大雨になると洪水になる可能性が高い。また、森の地表は落ち葉や草で覆われており、雨が降っても土が崩れにくい。さらに地下では木の根が土や岩を固く縛り付けているので森では土砂崩れが起きにくい。
日本という狭い国土では森を守らなければ洪水や渇水が発生し、米などの農作物が作れなくなります。森は今でも「緑のダム」と言われますが、昔の人は豊かな森には美しい水が蓄えられることを知っていたのでしょう。
実際に戦時中に日本の木は使い切られ、森がなくなり、はげ山と化したため、その後各地で洪水や土砂崩れなどの被害が続きました。国も政策に乗り出して30~40年で成長する杉やヒノキなどの植林を進め、近年になってようやく森がよみがえりました。しかし、その後手入れがされず、森が荒れたままになっているのが現状です。